バイデン政権のウイグル問題に関しての政策と日本政府の対応

情報源:https://www.rfa.org/uyghur/qisqa_xewer/beijing-olimpik-01272021191653.html

 米国のポンペオ前国務長官は退任直前の19日、中国政府が180万人のウイグル人を不法に拘留、虐待、強制雇用した、これは「ジェノサイド」と「人類に対する犯罪だ」と非難した。バイデン政権で次期国務長官に指名されたブリンケン氏もこうした見解に賛意を示した。

 米国が中国政府のウイグル人に対す虐待を「ジェノサイド」と発表した後、バイデン政権がこの問題に対してどのような行動するのかを注目している。

 これについて、アメリカ研究機関のエイドリアン・ゼンツは「新しい米国政府は、中国を『競争相手』、ある意味では『脅威』と見なしているが、中国に対する政策と態度によって多少緩和される可能性がある。以前のように米国が単独で行動するよりも、同盟国と連携で行動するべきだ。米国は、輸入制限や強制労働などの問題を提起し、他国も追随するよう促してきた。また米国の中国大使館を閉鎖することも、『ジェノサイド』条約で、米国における中国共産党の影響力を減らすために取られるべき措置の1つである。明らかに、そのような残虐行為には国際的な団結が必要である。これは、バイデン政府が中国に対する政策をどれほど厳格にすることになるかによる。残念ながら、この『ジェノサイド』に対する他国の政策や態度がどうなるかは明らかではない。」と語った。米国の政治アナリスト、アンダース・コレ博士は、「米国政府は、北京での2022年冬季オリンピックをボイコットし、同盟国にも同じことをするよう奨励すべきだ。」と語った。

一方、米国が「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定したことを巡り、日本外務省の担当者は26日の自民党外交部会で「日本として『ジェノサイド』とは認めていない」との認識を示した。出席した自民党議員からは「日本の姿勢は弱い」などの指摘が相次いだが、外務省側は「人権問題で後ろ向きという批判は当たらない。関係国と連携しながら対応していく」と理解を求めた。自民党外交部会の佐藤正久部会長は会合後、記者団に対し「経済も大事だが、人権は大きなテーマだ。中国の人権抑圧を変えるため日本も関与しなければいけない」と強調した。

上記報道内容が日本政府としての公式な見解であれば、数年間に及ぶ懸命な情報収集・分析、度重なる議会での公聴会や強制収容所生還者からの聞き取り調査、専門家やシンクタンクの調査報告書などを検証・精査し、事実確認及び国際法と照らし合わせた上でアメリカ政府が至った歴史的な判断に対して、世界に先駆けて日本政府が異議を唱えることになり、中国政府による民族大量虐殺と人道に対する罪を容認するかのような誤った印象を与えかねない。それと同時に、現在も進行中のこの大量虐殺を終わらせるために多大な責任を負ってくれたアメリカ政府やメデイア・専門家たちの必死の努力に水を差す一方で、中国政府を勇気づけ大量虐殺を更に加速させる口実を与えることになる。また、国際社会でせっかくこの大量虐殺を終わらせるための行動が始まっている中で、上記のような発信は、日本の名誉や信頼を傷つける結果にも繋がる恐れがある。

在日ウイグル人たちは日本政府が米国と連帯し、21世紀には民族大量虐殺が許されないとの明確なメッセージを発して、この悪夢を終わらせるために一刻も早く具体的な行動を起こすことを望む。