米アップルは中国の検閲機にやりたい放題させていることの責任を負うべきであるか?
ウイグルタイムズ 8月1日投稿
翻訳者:Boran
編集者: Yasin
西側企業は自国内では一般的に、人々の権利及びインターネットへのアクセスの自由に影響を与える可能性がある決定を下す際に、西側の価値観に忠実であり続けるよう努めている。しかし、8億人を超えるインターネットユーザーがいる中国のような収益性の高い市場においては、経済的利益を西側の価値観より優先している。
中国政府は国内でのインターネットを検閲しており、Facebook、Google、Twitter、Instagram、YouTube等、西側で使用されている主要なインターネットサービスに市民がアクセスできないようにしている。中国政府のインターネット検閲のため、多くの市民や外国人旅行者は、政府によって禁止されているサイトやコンテンツにアクセスする手段として、バーチャルプライベートネットワーク(VPNs)を使用している。
この対策として、中国政府は企業に対し、政府規制当局のApp Storeへの登録あるいは機密とみなされるコンテンツの削除を求めている。近年、中国は当局のアクセスを簡便化するため、全てのインターネットおよび通信会社に対し、中国人ユーザーのデータを中国本土に保存する、新しい「データローカリゼーション」法を導入することを強制し、抑圧をさらに強化している。
驚くべきことに、AppleはGoogleやFacebookとは異なり、中国での運営を続けている。彼らは、ユーザーデータを中国にあるサーバーに保存するよう要求した現地の法律を順守した。たとえば2017年後半、Appleは米国上院議員からの質問に対し、ユーザーが検閲やオンラインスパイを回避できる600個以上のVPNsアプリを、中国のApp Storeから削除したことを認めた。しかし、同社は削除したアプリについては情報公開せず、中国政府の要請によりApp Storeから取り除いた他のサービスも明らかにしなかった。
TechCrunchは最近、AppleがApp Storeからアプリを削除するよう中国政府から受け取ったリクエスト数を始めて公開したことを報告した(https://techcrunch.com/2019/07/02/apple-app-government-takedowns/)。最新の透明性レポート(https://www.apple.com/legal/transparency/pdf/requests-2018-H2-en.pdf 18ページを参照)では、Appleは2018年7月1日〜12月31日の間に、App Storeから634個のアプリを削除するという80件の要求を11ヶ国から受け取ったことを述べた。Appleは、削除されたアプリをリストしなかったが、アプリが取り除かれた理由は示した。中国政府は、いわゆる「ギャンブル」および「ポルノ」法に違反していると主張する517個のアプリの削除を求めており、リクエストの大部分を占めている(これは、2017年にブロッキングを認めた600個のVPNsアプリにさらに追加したものである)。これは、Apple社が最新の透明性レポートの数字を公表すると約束してから、1年以上経過してから行われた。
The Telegraphの最近のレポートによると(https://www.telegraph.co.uk/technology/2019/07/03/apple-pulls-hundreds-apps-china-requests-beijing/)、北京はApp Storeの監視において、他の国よりはるかに手間をかけた。中国では517個のアプリが削除されたのに対し、他の国ではわずか117個だった。最新の透明性レポート(https://www.apple.com/legal/transparency/pdf/requests-2018-H2-en.pdf)では、中国政府が、所有者や購入内容などが含まれる、デバイスに関する情報を求める要求が急増していることが明らかになった。中国政府は昨年下半期に、137,595台のAppleのデバイスのデータを要求した。これは上半期6ヶ月の30,764からの急増であるが、Appleは「主に脱税の調査によるものだ」と主張している。
さらに、The Interceptの報告(https://theintercept.com/2019/02/01/apple-apps-china-censorship/)によると、数百のVPNsアプリに加えて、Appleは現在、中国ユーザーがNew York Times、Radio Free Asia、Tibetan News、Voice of Tibet等ニュース組織からアプリをダウンロードできないようにしている。また、検閲回避ツールであるTorやPsiphon,Googleの検索アプリとなるGoogle Earth,中国の人権と宗教自由に関するニュースを公開するBitter Winter,チベット人権と社会問題に関する情報を提供する中央チベット当局が運営するアプリ等もブロックしている。
Appleの中国法の順守は、それ自体違法ではないかもしれない。Appleは、App Storeのレビューガイドラインで、次のように述べている:「アプリは利用する場所の法的要件に準拠する必要がある」(https://developer.apple.com/app-store/review/guidelines/#before-you-submit)。しかし、中国共産党政権(CPP)は残忍な弾圧で知られており、1949年の設立以来、あらゆる種類の人権侵害を犯したことで有名である(https://www.hrw.org/world-report/2019/country-chapters/china-and-tibet)。Appleの利益は、監視・拘束されている数百万人のウイグル人、チベット人、中国人の人権活動家の命よりも重要であるだろうか?
21世紀においてCPPの人権侵害の頂点にあたるのは、中国占領下の東トルキスタンにおけるウイグル人に対する、残忍で大量虐殺の犯罪である。中国政府は現在、何百万人ものウイグル人イスラム教徒を大規模な強制収容所に収容しており、数千人のチベット人を政治犯として収容している。しかし、ジャーナリストや人権団体のこの地域への訪問は、中国政府により制限されているため、これらの強制収容所の実態については世界にほとんど知られていない。中国政府の膨大な監視システムと、VPNsなど検閲回避プログラムが利用できないため、活動家が人権侵害を報告するために検閲と監視を回避することはほとんど不可能であり、さらに大きな危険にさらされることとなっている。Appleは中国政府の検閲要求を順守することで、中国政権を支援している。そして、純粋に経済的利益を求めるAppleの無責任な行動によって、ウイグル人が最大の代価を払わされている。